勿忘草を紙面に書く【忘れな草の描き方】の記事は以前書きましたが、こちらでは描く相手を紙ではなくガラスや陶磁器に変えて描く「絵付け」について書いていきたいと思います。
青い5枚の花びらを小さく集めて可憐に咲く花姿が実に可愛い、忘れな草ですが1枚1枚しゃんと胸を張って咲いています。花びらのたおやかさこそないのですが、ハリがあって手に取りたくなりますね。
さて、絵付けしていくにあたり簡単に~描く、忘れな草の絵付け方法があります。紙面に書くのと何処が違うのか見ていきましょう。
絵付けとは?
まず、ここで「絵付け」という言葉が気になってきました。絵付けって何なのでしょうか?
絵付けの本来のながれ
もっとピンポイントで申しますと、絵付けをする相手が紙ではなく陶器や陶磁器、ガラス等に絵を描く事を絵付けと言います。
本来の陶磁器の流れから言いますと、型作り→素焼き→釉掛け→本焼き→の流れが一般的です。
素焼きの後、釉薬をかける前の素焼きに絵付けすることを下絵(したえ)
釉薬をかけて本焼きの後にする絵付けを上絵(うわえ)といいます。
この言葉については以下の記事に詳しく書いています。参考にしてください
<特殊用語>
いろいろ細かなことを説明してきましたが、実際に描いていきましょう、その前に・・。
絵付け上達のための3つのポイント
ポイント1=絵付け用の絵の具と材料にできるだけ慣れること、絵付け用の絵の具は粉状のものを使用すること。
ポイント2=花の配置をクロックポジションで書くこと。
<クロックポジションの意味>
観測する人を中心に置き(時計で言うと中心の点です)正面を12時とした場合の方向を示す手法です。
となると観測者が水平に両手を挙げた場合右手の方向が3時、左手が9時の方向になります。
ポイント3=毎日コツコツ筆を持ち描く時間を積み重ねること
絵付けの前に準備したい道具
《絵付けするのに必要なもの》
・絵付け専用の電気炉
・絵付け専用に絵の具
・絵の具溶きオイルいろいろ
・描きやすい筆(やわらかくて保湿の良いもの)
・絵付け用白磁
絵付けの道具は少し特殊です。絵の具は普通の水彩絵の具とかアクリル絵の具とはずいぶん違います。
窯に入れて焼成した時にちゃんと発色していること。高温(760~830度)に耐えられる絵の具であることが必須になります。
上記の内容、必要なものは分かったけどどこから初めて、材料はどこで手に入れたらいいの?と思いますよね。
窯はどこで買ったらいいの?絵の具材料はどこに売っているの?白磁はどこで買えばいいの?疑問だらけになってきました。
解決策その1、カルチャークラブに入りましょう、そのほうが近道です。高価な窯を買っても使いこなさないともったいないですし、絵の具も使い方を知らないと絵付けできません。白磁も絵付けに向くもの向かないものありますので、その選び方から勉強しないといけないのです。
*詳細は別記事に書きます。少しお待ちください。
忘れな草を絵付けするための準備
勿忘草を描くための絵の具と必要な白磁器を用意します
絵の具
・忘れな草を描く絵の具を準備します
粉状のもの黄色、青色、黄緑色→3色。その粉の絵の具を溶くオイル。(本来オイルは、粉の絵の具が滑らかにきれいに溶けて、陶磁器の面に付けられるものであれば何でもいいのです。)
それぞれ描く先生や作家さんによって違うことは多いので、ここでは意味だけ・・陶磁器面につけばいい・・とご理解ください。
筆
→描きやすいコリンスキーの筆です。一番左は専用の鉛筆、筆は右から1本目または2本を使います。
コリンスキー(動物の毛)の筆を使う理由は、筆に絵の具を含ませた時の持ちがいい、そして陶磁器の面に当たった時の滑らかさがいいので私はコリンスキーを使っています。
①専用鉛筆 ②毛足が長い細筆 ③太筆 ④小筆
薄め液と筆洗い
薄め液(ラベンダー)は絵具が乾燥して硬くなった時にほんの少しだけ筆先につけて使います。*直接使うには量が多いので小分け用に小さな瓶をご用意ください。
→筆洗い(テレピン)は筆に残った絵具を洗う時に使います。*直接使うには量が多いので小分け用に小さな瓶をご用意ください。
パレットとナイフ
陶磁器のタイル、大(15cm角)と小(11cm角)を各1枚、絵の具を溶く時のナイフ。これで絵の具を溶いていきます。
描く白磁器
ここでは画像の取りやすさからタイルにしました。
これだけ準備したら大丈夫です。それでは絵付けしていきましょう
わすれな草を絵付けする
やっと描く所まで来ましたが、もう少しだけ細かなことを書きますね。
筆と描く陶磁器との関係
白磁器にコリンスキーの筆を使って描いていきますが、白磁器はツルツルしています。
そのツルツルの面に描きやすい筆が、私の場合コリンスキーの筆になります。
・描きにくいな~と感じた時はどうしたらいい?
描き進むと、なんだか描きにくいな~と感じるときがあります。それは陶磁器の面と筆の角度があっていない時です。
たいていは、左手にお皿、右手に筆を持ちますね、花びら1枚1枚描き進めますが(この後の描き方の順番を参考にしてください)1枚目の花びらからの2枚目の花びらに行く時、ちょっと描きにくい・・、その時は右(時計まわり)に少しお皿をまわしてください。
そうしたら1枚目の花びらを描いた時と同じ所に中心線がきます。描きやすいベストポジションが必ずありますので、ご自身で探してみましょう
忘れな草の絵付け完成はこちら
こちらはガラスコップに忘れな草を絵付けしたもの。
白磁器に絵付けしたもの
忘れな草を描きます(上絵付け1回目の色入れ)
私の教室では、忘れな草を絵付けを始めるときの最初の花にしています。
描いていると意外に難しい~と皆さんおっしゃいます。見た目シンプルなお花ほど難しかったりしますが、大丈夫です。
素直な心で手順通りに進めていただければスイスイ描けます。
描くにあたり絵の具を解いていきます
絵の具を溶く
<絵の具を溶くときのコツ>
粉の絵具と溶き液の割合は6:4がいいでしょう。 水彩絵の具よりは硬くを意識して練り練りといてください。
こねればこねるほど絵の具の粒子が細かくなるので磁器に定着が良くなります。
小さいタイルで1つ1つ絵の具を溶いていきます。タイルの端を左手でしっかり押さえ、粉の絵の具にオイルを入れてシャッシャッ・・と粒が残らないように滑らかになるまで練ります。
この状態がほぼ完成に近いものです。
絵の具の準備ができました(*右上のピンクは無視してください)
描く時のクロックポジション
花びらの形はこのようにします。花びらをクロックポジションに1時、4時、6時、8時と9時の間、11時に配置します。
忘れな草を描く時の筆の動き
ご注意いただきたいことは、筆の動きですが中心に向かってカーブを作りながら進めます。
右の花びら→左の花びら→右下の花びら→左下の花びら→下の5枚目の花びら→黄色の花芯→茎→右の葉っぱ→左の葉っぱ・・となります。この時の筆は細筆④を使います。この後1回目の焼成をします。
忘れな草の描き方、 紙面上での書き方です。また花言葉や豆知識も書いていますので絵付けの描き方と合わせて見ていくと、より分かりやすいと思いますので参考にしてください。
1回目の上絵付け完成しました。
忘れな草を描きます(上絵付け2回目の色入れ)
1回目の絵付けが終り、焼成後の2回目の上絵付です。1回の絵付けで完成とせず、2日目の絵付けをする理由は、絵に奥行きを持たせるためです。
忘れな草を描く時の筆の動き
2回目の絵付けは絵の具を,1回目のものより少し濃い色を準備します。
色付けは1回目に付けた花びらの上に同じよう(まったく同じに塗りつぶすのでは無く、気持ち1回目の絵付けの色が残る感じ)につけます。この時の筆は小筆④を使います。(詳細は画像をアップしてご覧ください)
色を付けたら次は線描きをします。花びらに沿って花びらの半分に線書きます。
5枚目(下の花びら)の花びらのみグルッと線書きして下さい。(詳細は画像をアップしてご覧ください)葉っぱまで描いたら完成です。この時の筆は細筆②を使います。この後2回目の焼成をします。
焼成が終ったら完成です。
まとめ
忘れな草の絵付けの方法だけをまとめてみますね。
クロックポジション
花びらの形はこのようにします。花びらをクロックポジションに、画像右花びらから時計まわりに、1時、4時、6時、8時と9時の間、11時に配置します。
忘れな草を描く時の筆の動き
忘れな草1輪を描く時の筆の動きです。花びら1枚1枚描き進めていく画像です。→の歩行に筆を進めて下さい。
ご注意いただきたいことは、筆の動きですが中心に向かってカーブを作りながら進めます。
右の花びら→左の花びら→右下の花びら→左下の花びら→下の5枚目の花びら→黄色の花芯→茎→右の葉っぱ→左の葉っぱ・・となります。この時の筆は細筆④を使います。この後1回目の焼成をします。
忘れな草の描き方、 紙面上での書き方です。また花言葉や豆知識も書いていますので絵付けの描き方と合わせて見ていくと、より分かりやすいと思いますので参考にしてください。
1回目の上絵付け完成しました。
忘れな草を描きます(上絵付け2回目の色入れ)
1回目の絵付けが終り、焼成後の2回目の上絵付です。1回の絵付けで完成とせず、2日目の絵付けをする理由は、絵に奥行きを持たせるためです。
忘れな草を描く時の筆の動き
2回目の絵付けは絵の具を,1回目のものより少し濃い色を準備します。
色付けは1回目に付けた花びらの上に同じよう(まったく同じに塗りつぶすのでは無く、気持ち1回目の絵付けの色が残る感じ)につけます。この時の筆は小筆④を使います。(詳細は画像をアップしてご覧ください)
色を付けたら次は線描きをします。花びらに沿って花びらの半分に線書きます。
5枚目(下の花びら)の花びらのみグルッと線書きして下さい。(詳細は画像をアップしてご覧ください)葉っぱまで描いたら完成です。この時の筆は細筆②を使います。この後2回目の焼成をします。
焼成が終ったら完成です。
以上のように進めていくと容易に忘れな草の絵付けが楽しめます。しかし、やはり繰り返し練習をしていくことが大切ですので、毎日時間を決めて10分でも30分でも絵付けに触れる時間の確保を習慣にすることから始めましょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。