絵付けのはなし(絵の具やお道具について)

【絵付けとは何?】絵付け教室の先生がわかりやすく解説

「絵付け・・・」この言葉を説明すると、絵を付けること。あるものに絵を書いて付けること。そのあるものとは何か?画用紙でもいいのか、またキャンバスなのか・・?ポイントはそこです。

普段の生活では使うこともなく、日常生活には不必要な特別な意味を持つこの言葉・・・

あまりにも専門用語過ぎて、難しいと感じている多くの皆様に出来るだけ分かりやすい言葉と文章で画像を取り入れながら書いていきたいと思います。

絵付けとは?

絵付けとは何ですか?とチャットGPTに聞いてみました。

チャットGPTに聞いてみた

今、注目のチャットGPTに聞いてみたら、絵付け(えづけ)とありました。まずこの言葉のフリガナは間違っているのですが・・正しくは「えつけ」です。

そして絵付けとは物体や表面に絵や模様を描いたり、色彩を施したりする技術のことや作業の事を指す。・・と有りました。漠然としすぎていて更にわかりにくい印象になってきました。

絵付けの従来のながれ

ピンポイントで申しますと、絵付けをする相手が紙ではなく陶器や陶磁器、ガラス等に絵を描く事を絵付けと言います。

従来の陶磁器の流れから言いますと、型作り→素焼き→釉掛け→本焼き→の流れが一般的です。

素焼きの後、釉薬をかける前の素焼きに絵付けすることを下絵(したえ)
釉薬をかけて本焼きの後にする絵付けを上絵(うわえ)といいます。

絵付けの種類

絵付けの種類は大きく下絵付けと、上絵付けの2つに分けることができます。

そしてその絵付けは転写絵付けと手描き絵付けがあります。これも1つ1つ解説していきますね

下絵付け

下絵付け(手描き)=釉薬をかける前の素焼きの状態(本焼き前)の器に絵を施すこと。特徴は釉薬をかけていないので模様や絵が描きにくい、1度描いた絵を消すことが出来ないため修正することが難しいです。1発勝負です。画像はごすで絵付けして焼成したもの。

 

転写の下絵付け=下絵用の専用のシール状のシートを貼って焼成する。

上絵付け

上絵付け(手描き)・イングレースも含みます=釉薬をかけた本焼きの後に絵を施す作業ですので、表面がツルツルしているので描きやすい所が魅力です。また焼成するまでは納得がいくまで、何回消してもOKです。消しては描き、描いては消し・・・納得のいく絵が楽しめます。画像は色絵付けして焼成したもの。

 

そしてイングレースについてですが、上絵のタイミングで釉薬の下に絵が入り込む事を言います。絵の具を替えるか器の種類を選ぶかでイングレースができます。詳細は参考欄をご覧下さい。

画像は器の種類を選んでイングレースに仕上げたもの。釉薬の下に葉っぱやバラの絵が入り込んでいます。(わかりにくかったらごめんなさい)触ると表面は何も描いてない時と同じようにツルツルしています。(解らないときは絵付けした作品を手で触ってみましょう)

イングレースは従来の上絵具をイングレース用に替えると出来ます。また器の釉薬の堅さ柔らかさで器を選ぶとイングレースは出来ます。

・絵の具でイングレース=高温(焼成温度が1000度を超える)絵の具に替えて描き焼成する

・器でイングレース=器の釉薬の柔らかいものを選んで通常使っている上絵の具で描き焼成します。

転写の上絵付け=釉薬のかかった本焼き後、準備したシール状のものを貼って焼成する。手描きしない分大量に沢山の器が出来ます、そのため手間とコストが軽減できます。

 

手描き絵付け(ヨーロピアンとアメリカン)の違い

手描きの絵付けにはヨーロピアン絵付け、アメリカン絵付けの2通りのジャンルがあります

ヨーロピアン絵付け→背景がなくて花やフルーツそのものを面と線で仕上げていきます。丸筆を使うのが特徴です。完成までに大体2~3回の焼成をします。

アメリカン絵付け→平筆を使って風景、動物、ポートレートなどを描いていきます。はじめに濃い絵の具を塗り少しづつ色を抜いていく技法の絵付けです。

絵付けの絵の具と温度の関係

厳密に申しますと、絵の具が器にきれいに溶けて一番美しい状態というのは、絵の具ひとつひとつで違うと思います。

私は絵の具を作る立場のものではないので明確な事は差し控えますが、35年以上焼成しほぼ毎日窯の状態と発色する絵の具と向き合ってきたので、ほぼ間違いはないと思っています。

絵の具のベスト温度は全て違う

その美しい発色にいちいち付き合っていては仕事が進みませんので、平均値をとって780~800度で焼成くださいとの表示があるのです。

どうしてもこの色は絶対この発色にしたい!となれば焼成温度をその色に合わせて作業を進めればいいのです。

温度とデザインと発色と・・作業を組み立てながら、思いの作品を制作することはこの上ない楽しい時間です。

まとめ

以上のことから、まとめてみました。

絵付けの種類は大きく下絵付けと、上絵付けの2つにわけることができます。

下絵付け(手描き)=釉薬をかける前の素焼きの状態の器に絵を施すこと。特徴は釉薬をかけていないので模様や絵が描きにくい、1度描いた絵を消すことが出来ないため修正することが難しいです。1発勝負です。

上絵付け(手描き)・イングレースも含みます=釉薬をかけた本焼きの後に絵を施す作業ですので、描きやすい所が魅力です。また焼成するまでは何回消しても大丈夫、納得のいく絵が楽しめます。

以上のことから絵付けとは絵を描いてから、焼き付けをするまでの1連の流れの総まとめのことを絵付けというのだと解りましたね。

その中でも本焼きの前に絵付けする事を下絵付け、本焼き後に絵付けする事を上絵付けといい、絵の様子もその状況を考え、作り手はそれを楽しんで大いに作品作りをする、また出来上がった作品を購入して楽しむ人は、料理のメニューや、作品を目にした時の直感でチョイスしていくと豊かな生活の彩りが出来るのかな~といつも考えています。

ここまでお読み下さり有難うございました。

 

 

ABOUT ME
HITOMI らら
20代の時から洋食器に関わりフリーハンド絵付けの教室を運営してる ”らら””がその歴史や技術はもちろんの事。絵具、道具、焼成窯に至るまでを伝えていきます。